©熊野本宮大社 和歌山県にある熊野本宮大社は熊野三山の一社で、全国に約五千社ある熊野神社の総本社です。世界遺産・熊野古道の終着点の一つであり、荘厳な境内は、古くから多くの参拝者を迎えてきた和歌山屈指のパワースポットです。
2025.10.17熊野本宮大社
再生の聖地
熊野本宮大社の社殿の歴史を遡ると紀元前33年(前1世紀)となります。
かつて日本初代天皇──神武天皇が東征する際、高倉下より霊剣布都御魂をもらいました。その剣が、一連の失いで危機に陥ていた神武天皇を覚醒させ、最終の勝利へ導くことに大いに役に立ったとされています。
その後の紀元前33年(前1世紀)頃、熊野川の中州に位置する「大斎原(おおゆのはら)」という場所に、三体の月が降臨し、「我は證誠大権現(家都美御子大神=素戔嗚尊)であり、両側の月は両所権現(熊野夫須美大神・速玉之男大神)である。社殿を創って齋き祀れ」という神勅を与えました。それが、最初の熊野本宮大社の社殿となります。
時が流れ、4世紀(推測)頃、高倉下の子孫は熊野国の長官職「熊野国造」に就任しました。それ以降、熊野本宮大社の神々は、千年以上にわたり熊野国造家の子孫によって代々守られ、祀られてきました。その中で、十二殿の御祭神は、それぞれ上社・中社・下社の三社に分かれて鎮座されています。
しかし、かつて大斎原にあった社殿は、明治22年(1889年)の大洪水により被災し、現在の高台へと上四社が遷座されました。残る八社は旧社地である大斎原に石祠として祀られ、今もなお静かに神々が鎮座されています。


旧社地である大斎原には、今でも多くの参詣者が訪れています。毎年の例大祭など、重要な神事も必ず大斎原で執り行われます。
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熊野本宮大社のお祭り
熊野本宮大社では、毎年いくつかの伝統的なお祭りが行われます。地元の人々だけでなく、遠方から参拝に訪れる方も多く、にぎわいを見せます。
熊野本宮大社例大祭(4月13日〜15日)
春に行われる、熊野本宮大社で最も重要なお祭り。3日間にわたり、神聖な儀式やにぎやかな行列が続きます。

4月13日の【湯登神事】および【宮渡神事】を皮切りに、神職や稚児(子ども)たちによる行列が「大日越え」と呼ばれる山道の古道を通り、大斎原へと向かいます。道中では身を清めながら、例祭の無事と平穏を祈念します。この際、神の使いとされる幼い子どもたちは肩車で運ばれ、神聖で温かみのある光景が広がります。
翌日の4月14日には、各所で祈願の祭典や前夜祭が執り行われ、いよいよ4月15日の本祭へと続きます。
4月15日の【本殿祭】では、熊野本宮大社の主祭神である熊野夫須美神(くまのふすみのかみ)の神徳を讃え、国家の安泰と国民の平安を祈ります。続いて【渡御祭】が始まり、主祭神の御神体が神輿に乗せられ、大斎原へと遷御されます。
その後、旧社地では舞や音楽が披露され、華やかで賑やかな雰囲気の中、祭りは最高潮を迎えます。

【渡御祭】の後半では、修験者による護摩焚きや餅投げが行われ、祭りの雰囲気は一層にぎやかになります。投げられる餅は白色と赤色の二種類で、特に赤色の餅を手にした人には「挑花(ちょうばな)」が授けられます。
「挑花」は菊の花を模した造花で、五穀豊穣や無病息災などを願う縁起物として知られています。祭りのクライマックスを彩るこの場面は、参加者にとっても思い出深いひとときとなるでしょう。

八咫の火祭り
熊野本宮大社ではなく、本宮町が主催するイベントですが、会場は神聖な大斎原で行われ、熊野本宮大社も協力しています。火・太鼓・花火が織りなす迫力ある演出が、秋の夜を幻想的に彩り、毎年多くの参加者を魅了しています。
*2025年は、10月11日(土)17:00~ 開催

古代、熊野の山で迷った神武天皇を、熊野の神の使いである『八咫烏』が導いた伝説から、この祭りは「人々を幸福に導く祭り」とされています。
三山を巡ってこそ深まる祈り
熊野本宮大社を訪れたら、ぜひ熊野速玉大社、熊野那智大社、青岸渡寺とあわせて「熊野三山」を巡ってみてください。
また、古くから多くの巡礼者が歩んだ熊野古道をたどれば、ただの観光ではなく「よみがえりの地」としての熊野を体感できるでしょう。
↓熊野三山シリーズ
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